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ある曲が特定の音階に基づくことを調といいます(厳密には正しくない定義ですが、ここではそのように考えていいでしょう)。
長音階に基づく調を長調、短音階に基づく ...
調(音楽)
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音楽>音楽理論>楽典>音の高さ>調
ある曲が特定の音階に基づくことを調といいます(厳密には正しくない定義ですが、ここではそのように考えていいでしょう)。
長音階に基づく調を長調、短音階に基づく調を短調と言います。
目次
1長調
1.1ハ長調
1.2ト長調
1.3ニ長調
1.4イ長調
1.5ホ長調
1.6ロ長調
1.7嬰ヘ長調
1.8嬰ハ長調
1.9ヘ長調
1.10変ロ長調
1.11変ホ長調
1.12変イ長調
1.13変ニ長調
1.14変ト長調
1.15変ハ長調
2短調
2.1イ短調
2.2ホ短調
2.3ロ短調
2.4嬰ヘ短調
2.5嬰ハ短調
2.6嬰ト短調
2.7嬰ニ短調
2.8嬰イ短調
2.9ニ短調
2.10ト短調
2.11ハ短調
2.12ヘ短調
2.13変ロ短調
2.14変ホ短調
2.15変イ短調
3調号
3.1♯の付く調の調号
3.2♭の付く調の調号
3.3調号のまとめ
4関係調
4.1属調
4.2下属調
4.3平行調
4.4属調平行調
4.5下属調平行調
4.6同主調
4.7主調
5異名同音調
6五度圏
7調の総括
長調
ハ長調
ハ(C)から始まる長音階
に基づく調をハ長調と言います。
このページの譜例ではは全音、は半音を表します。
ト長調
同じようにト(G)から始まる長音階を考えてみましょう。
ト(G)はハ(C)の完全5度上(完全4度下)の音です。
まず単純に並べてみます。
これは長音階になりませんね。
第6音(右から3番目)と第7音(右から2番目)の間は全音でなければいけないのに半音となっており、狭すぎます。
一方、第7音と上の第1音(いちばん右)の間は半音でなければいけないのに全音となっており、広すぎます。
ですから、6-7を半音広げ、7-(上の)1を半音狭める必要があります。
そのためには、第7音を上の第1音に半音近づけるために半音上げなければなりません。
第7音を半音上げることによって、長音階になります。
このように、ト(G)から始まる長音階に基づく調、すなわちト長調では、ヘ(F)に♯が付きます。
ニ長調
同じようにニ(D)から始まる長音階を考えてみましょう。
ニ(D)はト(G)完全5度上(完全4度下)の音です。
単純に並べてみます。
これも長音階になりませんね。
第2音と第3音の間が狭すぎ、第3音と第4音の間が広すぎます。
ですから、第3音を半音上げましょう。
また、第6音(右から3番目)と第7音(右から2番目)の間が狭すぎ、第7音と上の第1音(いちばん右)の間が広すぎます。
ですから、第7音も半音上げましょう。
これで、長音階になります。
このように、ニ(D)から始まる長音階に基づく調、すなわちニ長調では、ヘ(F)に加えてハ(C)にも♯が付きます。
イ長調
同じようにイ(A)から始まる長音階を考えてみましょう。
イ(A)はニ(D)の完全5度上(完全4度下)の音です。
単純に並べてみます。
これも長音階になりません。
まず第2音と第3音の間が狭すぎ、第3音と第4音の間が広すぎます。
ですから、第3音を半音上げましょう。
また、第5音(右から4番目)と第6音(右から3番目)の間が狭すぎ、第7音(右から2番目)と上の第1音(いちばん右)の間が広すぎます。
第6音を上げると第5音との間は広がって正しくなりますが、こんどは第7音との間が狭すぎます。
そこで、第7音も半音上げましょう。
第7音と上の第1音との間も狭まって、これで、長音階になります。
このように、イ(A)から始まる長音階に基づく調、すなわちイ長調では、ヘ(F)とハ(C)に加えてト(G)にも♯が付きます。
ホ長調
同じようにホ(E)から始まる長音階を考えてみましょう。
ホ(E)はイ(A)完全5度上(完全4度下)の音です。
単純に並べてみます。
これも長音階になりません。
まず第1音と第2音の間が狭すぎ、第3音と第4音の間が広すぎます。
ですから、第2音と第3音を半音上げましょう。
また、第5音(右から4番目)と第6音(右から3番目)の間が狭すぎ、第7音(右から2番目)と上の第1音(いちばん右)の間が広すぎます。
第6音と第7音を半音上げます。
これで、長音階になります。
このように、ホ(E)から始まる長音階に基づく調、すなわちホ長調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)に加えてニ(D)にも♯が付きます。
ロ長調
同じようにロ(B)から始まる長音階を考えてみましょう。
ロ(B)はイ(A)完全5度上(完全4度下)の音です。
単純に並べてみます。
これも長音階になりません。
まず第1音と第2音の間が狭すぎ、第3音と第4音の間が広すぎます。
ですから、第2音と第3音を半音上げましょう。
また、第4音と第5音の間が狭すぎ、第7音(右から2番目)と上の第1音(いちばん右)の間が広すぎます。
第5音、第6音、第7音を半音上げます。
これで、長音階になります。
このように、ロ(B)から始まる長音階に基づく調、すなわちロ長調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)、ニ(D)に加えてイ(A)にも♯が付きます。
嬰ヘ長調
次は少し複雑です。
ロ(B)の5度上の音はヘ(F)ですが、ロとヘの間は減5度です。
従って、ロ(B)の完全5度上(完全4度下)の音はヘ(F)の半音上の音、嬰ヘ(F♯)になります。
あとは同じです。
嬰ヘ(F♯)から長音階を作ると、次のようになります。
このように、嬰ヘ(F♯)から始まる長音階に基づく調、すなわち嬰ヘ長調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)、ニ(D)、イ(A)に加えてホ(E)にも♯が付きます。
嬰ハ長調
嬰ヘ(F♯)の完全5度上(完全4度下)の音は嬰ハ(C♯)です。
嬰ハ(C♯)から長音階を作ると、次のようになります。
このように、嬰ハ(C♯)から始まる長音階に基づく調、すなわち嬰ハ長調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)、ニ(D)、イ(A)、ホ(E)に加えてロ(B)にも♯が付き、これですべての音に♯が付きました。
ヘ長調
今度は最初のハ長調から完全5度下へ見ていきましょう。
ハ(C)の完全5度下(完全4度上)の音はヘ(F)です。
まず単純に並べてみます。
これは長音階になりませんね。
第3音と第4音の間は半音でなければならないのに広すぎ、第4音と第5音の間は全音でなければならないのに狭すぎます。
ですから、3-4を半音狭め、4-5を半音広げる必要があります。
そのためには、第4音を第3音に半音近づけるために半音下げなければなりません。
第4音を半音下げることによって、長音階になります。
このように、ヘ(F)から始まる長音階に基づく調、すなわちヘ長調では、ロ(B)に♭が付きます。
変ロ長調
ヘ(F)の完全5度下(完全4度上)は変ロ(B♭)です。
変ロ(B♭)からの長音階を作ってみましょう。
このように、変ロ(B♭)から始まる長音階に基づく調、すなわち変ロ長調では、ロ(B)に加え、ホ(E)にも♭が付きます。
変ホ長調
変ロ(B♭)の完全5度下(完全4度上)は変ホ(E♭)です。
変ホ(E♭)からの長音階を作ってみましょう。
このように、変ホ(E♭)から始まる長音階に基づく調、すなわち変ホ長調では、ロ(B)、ホ(E)に加え、イ(A)にも♭が付きます。
変イ長調
変ホ(E♭)の完全5度下(完全4度上)は変イ(A♭)です。
変イ(A♭)からの長音階を作ってみましょう。
このように、変イ(A♭)から始まる長音階に基づく調、すなわち変イ長調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)に加え、ニ(D)にも♭が付きます。
変ニ長調
変イ(A♭)の完全5度下(完全4度上)は変ニ(D♭)です。
変ニ(D♭)からの長音階を作ってみましょう。
このように、変ニ(D♭)から始まる長音階に基づく調、すなわち変ニ長調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)、ニ(D)に加え、ト(G)にも♭が付きます。
変ト長調
変ニ(D♭)の完全5度下(完全4度上)は変ト(G♭)です。
変ト(G♭)からの長音階を作ってみましょう。
このように、変ト(G♭)から始まる長音階に基づく調、すなわち変ト長調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)、ニ(D)、ト(G)に加え、ハ(C)にも♭が付きます。
変ハ長調
変ト(G♭)の完全5度下(完全4度上)は変ハ(C♭)です。
変ハ(C♭)からの長音階を作ってみましょう。
このように、変ハ(C♭)から始まる長音階に基づく調、すなわち変ハ長調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)、ニ(D)、ト(G)、ハ(C)に加え、ヘ(F)にも♭が付きます。
これですべての音に♭が付いたことになります。
短調
イ短調
イ(A)から始まる短音階
に基づく調をイ短調と言います。
ホ短調
同じようにホ(E)から始まる短音階を考えてみましょう。
ホ(E)はイ(A)の完全5度上(完全4度下)の音です。
まず単純に並べてみます。
これは短音階になりませんね。
第1音と第2音の間は全音でなければいけないのに半音となっており、狭すぎます。
一方、第2音と
第3音の間は半音でなければいけないのに全音となっており、広すぎます。
第2音を半音上げることによって、短音階になります。
このように、ホ(E)から始まる短音階に基づく調、すなわちホ短調では、ヘ(F)に♯が付きます。
ロ短調
同じようにして、ロ(B)から始まる短音階を考えてみましょう。
ロ(B)はホ(E)の完全5度上(完全4度下)の音です。
このように、ロ(B)から始まる短音階に基づく調、すなわちロ短調では、ヘ(F)に加え、ハ(C)にも♯が付きます。
嬰ヘ短調
ロ(B)の完全5度上(完全4度下)の音は嬰ヘ(F♯)です。
嬰ヘ(F♯)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、嬰ヘ(F♯)から始まる短音階に基づく調、すなわち嬰ヘ短調では、ヘ(F)とハ(C)に加え、ト(G)にも♯が付きます。
嬰ハ短調
嬰ヘ(F♯)の完全5度上(完全4度下)の音は嬰ハ(C♯)です。
嬰ハ(C♯)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、嬰ハ(C♯)から始まる短音階に基づく調、すなわち嬰ハ短調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)に加え、ニ(D)にも♯が付きます。
嬰ト短調
嬰ハ(C♯)の完全5度上(完全4度下)の音は嬰ト(G♯)です。
嬰ト(G♯)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、嬰ト(G♯)から始まる短音階に基づく調、すなわち嬰ト短調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)、ニ(D)、に加えてイ(A)にも♯が付きます。
嬰ニ短調
嬰ト(G♯)の完全5度上(完全4度下)の音は嬰ニ(D♯)です。
嬰ニ(D♯)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、嬰ニ(D♯)から始まる短音階に基づく調、すなわち嬰ニ短調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)、ニ(D)、イ(A)に加えてホ(E)にも♯が付きます。
嬰イ短調
嬰ニ(D♯)の完全5度上(完全4度下)の音は嬰イ(A♯)です。
嬰イ(A♯)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、嬰イ(A♯)から始まる短音階に基づく調、すなわち嬰イ短調では、ヘ(F)、ハ(C)、ト(G)、ニ(D)、イ(A)、ホ(E)に加えてロ(B)にも♯が付きます。
これですべての音に♯が付きました。
ニ短調
今度は短調の最初に学んだイ短調から完全5度下へ見ていきましょう。
イ(A)の完全5度下(完全4度上)の音はニ(D)です。
まず単純に並べてみます。
これは短音階になりませんね。
第5音と第6音の間は半音でなければならないのに広すぎ、第6音と第7音の間は全音でなければならないのに狭すぎます。
ですから、5-6を半音狭め、6-7を半音広げる必要があります。
そのためには、第6音を第5音に半音近づけるために半音下げなければなりません。
第6音を半音下げることによって、短音階になります。
このように、ニ(D)から始まる短音階に基づく調、すなわちニ短調では、ロ(B)に♭が付きます。
ト短調
ニ(D)の完全5度下(完全4度上)の音はト(G)です。
ト(G)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、ト(G)から始まる短音階に基づく調、すなわちト短調では、ロ(B)に加え、ホ(E)にも♭が付きます。
ハ短調
ト(G)の完全5度下(完全4度上)の音はハ(C)です。
ハ(C)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、ハ(C)から始まる短音階に基づく調、すなわちハ短調では、ロ(B)、ホ(E)に加え、イ(A)にも♭が付きます。
ヘ短調
ハ(C)の完全5度下(完全4度上)の音はヘ(F)です。
ヘ(F)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、ヘ(F)から始まる短音階に基づく調、すなわちヘ短調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)に加え、ニ(D)にも♭が付きます。
変ロ短調
ヘ(F)の完全5度下(完全4度上)の音は変ロ(B♭)です。
変ロ(B♭)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、変ロ(B♭)から始まる短音階に基づく調、すなわち変ロ短調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)、ニ(D)に加え、ト(G)にも♭が付きます。
変ホ短調
変ロ(B♭)の完全5度下(完全4度上)の音は変ホ(E♭)です。
変ホ(E♭)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、変ホ(E♭)から始まる短音階に基づく調、すなわち変ホ短調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)、ニ(D)、ト(G)に加え、ハ(C)にも♭が付きます。
変イ短調
変ホ(E♭)の完全5度下(完全4度上)の音は変イ(A♭)です。
変イ(A♭)から始まる短音階を考えてみましょう。
このように、変イ(A♭)から始まる短音階に基づく調、すなわち変イ短調では、ロ(B)、ホ(E)、イ(A)、ニ(D)、ト(G)、ハ(C)に加え、ヘ(F)にも♭が付きます。
これですべての音に♭が付いたことになります。
調号
このように、それぞれ調では、決まった音に♯や♭がつきます。
これらの曲の楽譜で、こういった♯や♭が出てくるたびに臨時記号として♯や♭を書いていたのでは不合理です。
そこで、段の始めにまとめて書くことが行われます。
調によって決まった♯や♭を書くので、調号と呼びます。
♯の付く調の調号
たとえばト長調
ならば、ヘ(F)に♯が付きます。
これを、段の始めに書きます。
(左の譜例では、ト音記号の時とヘ音記号の時の書き方がわかるように、併せて書いてあります。
また、白音符はその調の主音です)
ニ長調
ではハ(C)にも♯が付きます。
同じようにヘ(F)とハ(C)に♯を書きますが、ト長調でも使われたヘ(F)の方を先に書きます。
以下、同じようにひとつずつ増えていきます。
♯の付く短調も同様に考えます。
ハ長調
ト長調
ニ長調
イ長調
ホ長調
ロ長調
嬰ヘ長調
嬰ハ長調
イ短調
ホ短調
ロ短調
嬰ヘ短調
嬰ハ短調
嬰ト短調
嬰ニ短調
嬰イ短調
♭の付く調の調号
♭の付く調では、最初にヘ長調で
ロ(B)に♭が付き、次に変ロ長調で
ホ(E)にも♭が付くのでした。
♯と同じように、ひとつずつ増えていきます。
♭の付く短調も同様です。
ハ長調
ヘ長調
変ロ長調
変ホ長調
変イ長調
変ニ長調
変ト長調
変ハ長調
イ短調
ニ短調
ト短調
ハ短調
ヘ短調
変ロ短調
変ホ短調
変イ短調
調号のまとめ
上の表を見ると、長調と短調とで同じ調号(の組み合わせ)のペアができていることわかります。
つまり、ト長調の調号は♯がひとつですが、ホ短調も♯がひとつで、付く場所が同じです。
また、他には♯が1つの調はありません。
ニ長調とロ短調はどちらも♯が2つで、付く場所が同じです。
以下、変ハ長調と変イ短調まで、ずっとペアがあることがわかります。
このように同じ調号の長調と短調の関係を平行調(並行調)といいます。
平行調についてはあとで詳しく学びますが、ここでは次のことを確認しておきましょう。
必ず長調と短調に同じ調号の調があります。
他には同じ調号の調はありません。
調号は「なし」(ハ長調・イ短調)か、♯が1つから7つのいずれか、もしくは、♭が1つから7つのいずれかです。
従って、調号の種類は調号なしも含めて15種類です。
ここから次のことが導き出されます。
調号は、♯もしくは♭の数が決まれば、♯や♭の書きかたが決まります。
調号が決まれば、長調なら何調、短調ならば何調、というように決められます。
関係調
ここにあげられた長調15個、短調15個は、実はまったく別々の存在というわけではなく、さまざまな関連をもって音楽の中で使われていきます。
なかでも、互いに関係の深い調を近親調、または関係調といいます(ただし、「関係調」は、調と調との関係のことを表すこともある言葉です)。
近親調以外の調を遠隔調といいます。
属調
ある調の第5音(属音)から始まる調を属調と言います。
第5音から始まるのですから、全体として完全5度高い(完全4度低い)調であるということができます。
たとえば、ハ長調(調号なし)の属調はハ(C)の完全5度上のト(G)から始まるト長調(♯1つ)です。
ト長調の属調はニ長調(♯2つ)、ニ長調の属調はイ長調(♯3つ)です。
また、変ロ長調(♭2つ)の属調は、変ロ(B♭)の完全5度上のヘ(F)から始まるヘ長調(♭1つ)です。
このように、属調とは、調号の♯がひとつ多いか、♭がひとつ少ない調でもあります。
下属調
ある調の第4音(下属音)から始まる調を下属調と言います。
第4音から始まるのですから、全体として完全4度高い調、すなわち、完全5度低い調であるということができます。
たとえば、ハ長調(調号なし)の下属調はハ(C)の完全5度下のヘ(F)から始まるヘ長調です。
ヘ長調の下属調は変ロ長調(♭2つ)、変ロ長調の下属調は変ホ長調(♭3つ)です。
また、ニ長調(♯2つ)の下属調は、ニ(D)の完全5度下のト(G)から始まるト長調(♯1つ)です。
このように、下属調とは、調号の♭がひとつ多いか、♯がひとつ少ない調でもあります。
平行調
ハ長調とイ短調、ト長調とホ短調、ヘ長調とニ短調の関係のように、同じ調号である同士の長調と短調の関係を平行調(並行調)と呼びます。
平行調の関係にある2つの調は、長調の方が短調よりも主音が短3度高い関係にあります。
(♯の付く調の調号と♭の付く調の調号の表で確認してください。
)必要に応じて、長調の平行調を平行短調、短調の平行調を平行長調と呼ぶことがあります。
属調平行調
属調の平行調(ハ長調に対し、ト長調の平行調、すなわちホ短調の関係、またはイ短調に対し、ホ短調の平行調、すなわちト長調の関係)を属調平行調のように呼びます。
長調の属調平行調は主音が長3度高い調であり、短調の属調平行調は短7度高い調です。
下属調平行調
下属調の平行調(ハ長調に対し、ヘ長調の平行調、すなわちニ短調の関係、またはイ短調に対し、ニ短調の平行調、すなわちヘ長調の関係)を下属調平行調のように呼びます。
長調の下属調平行調は主音が長2度高い調であり、短調の属調平行調は短6度高い調です。
同主調
ハ長調とハ短調のように、同じ主音を持つ同士の長調と短調を同主調と言います。
長調の同主調(同主短調)は♭が3つ多く付きます。
もし、長調が♯系の長調ならば、その分♯が減ります。
(♯2個のニ長調の同主調はニ短調、♭1個です。
これは、♯2個に♭3個を付ける代わりにまず♭2つ分の♯2つを削り、残りの♭を最後に付けた、というように計算できます。
)逆に短調の同主調(同主長調)は♯が3つ多く付きます。
これも、♭系の長短調の場合には、♭を削ることで相殺して計算します。
主調
主調は関係調ではありませんが、ついでに言葉として覚えましょう。
主調とは、「元来の調」「最初の調」の意味です。
「属調から主調に戻る」などと言うように使われます。
異名同音調
ピアノで弾いたときに全く同じに響く調同士のことを異名同音調と呼ぶことがあります。
異名同音の関係にある調です。
異名同音調は次の組み合わせがあります。
ロ長調(♯5)—変ハ長調(♭7)
嬰ト短調(♯5)—変イ短調(♭7)
嬰ヘ長調(♯6)—変ト長調(♭6)
嬰ニ短調(♯6)—変ホ短調(♭6)
嬰ハ長調(♯7)—変ニ長調(♭5)
嬰イ短調(♯7)—変ロ短調(♭5)
以上のように、異名同音調のあるのは、♯か♭が5つ以上の調です。
異名同音調同士の♯と♭の数を加えると、必ず12になりますね。
五度圏
最初、♯系の調を5度上へ、5度上へと取っていきました。
次に♭系の調を5度下へ、5度下へ、と取って行きました。
どうやら、♯系と♭系では、ハ長調、イ短調を中心に、逆の方向に向いているようですね。
だとすれば、これらはひとつの直線上に表せそうです。
─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─
7 6 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4 5 6 7
♭← →♯
ところが、異名同音調のところで学んだように、♯5と♭7、♯6と♭6、♯7と♭5の調は、ピアノでは(平均律では)同じ響きになります
─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼
7 6 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4
♭←
─┼─┼─┼─
5 6 7
→♯
これをひとつにまとめて考えるため、丸めてみましょう。
この図を、五度圏といいます。
5度の関係にある調を隣同士に置いて丸く(圏)書いてあるからです。
調の関係を理解する上で非常に大切な図ですから、よく理解しましょう。
調の総括
調に関連して、是非覚えて欲しいことです。
次の4つは唱えて覚えましょう。
調号の順序
♯:ファ↓ド↑ソ↓レ↓ラ↑ミ↓シ
♭:シ↑ミ↓ラ↑レ↓ソ↑ド↓ファ
(イタリア音名=固定ドです)
長調の順序
♯:トニイホロヘハ(ヘから嬰が付く)
♭:ヘロホイニトハ(ロから変が付く)
あえて短調の順序は覚えなくていいでしょう。
短調は長調の短3度下です。
音程がマスターできれば、困ることはないはずです。
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